nrykok blog

PR・編集・記事執筆・ウェブ企画・制作ディレクションを専門とするnrykok Tokyo + Singapore代表のブログです。

フィリピン・マニラのスラム街に感じたアジアの貧しさ

f:id:nrykok:20140301125148j:plain

フィリピン・マニラに出張で初めて行ってきました。中心地マカティエリアや、外資系企業が集積するグローバルシティーに経済成長を感じることもできましたが、一番印象に残っているのは、ネガティブな意味での「発展途上国」としての側面です。

東南アジアで暮らすようになってから、発展途上国という言葉に、ネガティブな印象を抱くことは少なくなりました。むしろ、これから成長していくemerging marketとしての可能性を感じています。先週行ったベトナム・ホーチミンがまさにそうだったのですが、マニラは後味が少し違いました。

ニノイ アキノ空港からマカティに行く途中、車内からスラム街が見えます。他の国でも空港から都市部までの道のりでそうした風景を目にすることはあるのですが、マニラはその集積度合いがすごい。マカティやグローバルシティーが栄えているから、なおさらそのギャップを強く感じました。

ホテルから取材先への移動中のタクシーでも、運転手に「必ず中から鍵をかけろ」と言われます。停車中に誰かにドアを開けられることがあるのかもしれません。また、iPhone片手に街を歩いていたときには、ボロボロの服を着た子どもに変な目で見られ、本当にこれは申し訳ないんだけど、正直怖い思いをしました。

ホテルから空港まで送迎してくれた運転手に、スラムに住んでいるひとはどうやって生活しているのか」聞きました。父親が働かない家庭もあるそうで、子どもを街に出し物乞いをさせたり、道でタバコなどを売らせたりするそう。男性が強い旧来的な価値観がよくない方向に作用しているのかもしれません。

さらに、子どもが8人も9人もいる家庭が少なくないといいます。カトリック信仰が強く、避妊の習慣がないからだそう。最近では女性が不妊手術をするケースもあるそうですが、まだまだ少なくないそうです。宗教を否定するつもりはありませんが、性や家族の将来設計に関する知識が不足していると言わざるを得ません。

では、働けばいい。海外企業なども入ってきているのだから、就職して稼げばいい。しかし、教育水準など企業が求める資質を、彼らが満たせていないのだそう。無料の公立学校は1クラスに生徒が50-70人、それに対して費用のかかる私立の学校は15-20人。本質的ではないと僕は思うのですが、運転手にいわせればこれも一つの原因だそうです。

貧しい=不幸というわけではありませんし、明るい子どもたちもいるでしょう。しかし、僕は経済的な苦しさが精神的な貧しさにつながりやすいと確信しているし、犯罪など人の道理に反することにつながっている今の状況は明らかに問題。自分がこれまで取材したきた活況は、アジアの一側面にすぎないということを思い出しました。