初めてのドリアンは、なぜか粉モノの味がした。
「フルーツ」は東南アジアのいいところの一つだと思う。
日本でも人気のマンゴーやライチ、それに日本ではめずらしいマンゴスチンやドラゴンフルーツ、スターフルーツなど、種類が豊富で、スーパーでは安く手に入る。もちろん新鮮で美味しい。
しかし、一つだけ避けてきたフルーツがある。「ドリアン」だ。
シンガポールに住んでいると、日常的に街中でドリアンのにおい、いや香りがしてくる。スーパーの軒先、最前列に、客よせの大役を担っているかのように置かれているし、実際お客がよってくる。
生でそのまま食べる人もいれば、アイスやかき氷、あったかく煮立ったスープのようにして食べる人も。週末も平日も関係なく、みんな美味しそうに食べている。
食わず嫌いはよくない、もちろんそう思う。だけどあれだけ、小さい頃から「臭い、臭い」と刷り込まれれば仕方がない。
そうしてなんとなく自発的には食べずに半年近く経ったのだが、家のオーナーさんに誘われ、ついにその初体験を迎えた。
近所のマーケットにて。大量のドリアンがお出迎え、すでにただようドリアン臭。
1個 5シンガポールドル、400円弱。3個で20ドルって、割引になっていないどころか高くなっているが、おそらく種類が違うか。
量り売りも。
とげとげしい。
食べやすくカットされたものも。
いよいよ....
実食。
まず口に運ぼうとするところから、すでに香りが鼻にくる。"臭い" というひと言では言い表せない、例えるなら、焼く前の粉モノのような香ばしさ+ネギのような香り。甘い果物を食べる準備をしていたので、脳が混乱。
表面はやや繊維質の薄い皮。そしていよいよ口に入れ、歯でかじると中からトロッとクリーミーな薄黄色の果実が。果実と果汁の中間のようなとろけ具合で、噛むというより、飲み込めるほど柔らかく、そのまま喉の奥へ。
口の中に残った後味は、粉モノの香ばしさ+ネギの香り+甘さ+クリーミーな食感で、自分がいまなにを食べているのか、よく分からない事態に。
ただ.... 二つ目には手が伸びず、きっともう....
オーナーさんからも、"This is the first and last time." だねハハハ、と笑われました。
皆さんも、こちらに来たとき一度は試してみては。