シンガポールの家賃と住宅事情
東南アジアに移住するということは、東京よりも物価が下がる。特に毎月の支出のうち、多くを占める「家賃」をぐっと圧縮できれば、生活がもっと楽になる。
こちらに移住するメリットの1つとしてそんなことを期待していたが、それはシンガポールにはあてはまらない、ということを昨年秋の視察のときに知った。
シンガポールの住宅は大きく2つに分けられる。「コンドミニアム」と「HDB」だ。
1. コンドミニアム
多くのコンドミニアムは30階以上の高層マンション。主に、外国から赴任している駐在員や、現地の人で比較的余裕のある人が暮らしている。
ほとんどのコンドミニアムにはプールやジム、バーベキュー用のスペースが付いている。中にはテニスコートやバスケットコート、集会室がある建物もある。入り口には守衛がいる。
広さも間取りも価格も様々。ただ、昨年末から年始にかけて調べたときは、多くのコンドミニアムが月20〜30万円を下らなかった。その金額はますます上がっているという。
その理由は、まずシンガポールに住む人や、投資目的で不動産を購入する人が増えていること。あとは部屋数が多いこと。1R、1Kのようなサイズはあまり見ない。これは東京とは異なる、外国ならでは住まい方だろう。
2. HDB(Housing & Development Board)
エイチ・ディー・ビーと読む。主にシンガポール国民を対象とする公営団地のこと。国民の8割が住んでいると言われている。
こちらにはプールやジムは付いていない。また守衛もいない。中国系からマレー系、インド系までいろんな人種の人がごちゃまぜに住んでいる。
いろんな人種の人が住んでいるのは、政府があえてそのようにしているから。先日読んだ書籍によると、人種の対立を失くすためだそうだ。シンガポール政府の歴史については勉強中なので、またどこかで書ければと思う。
こちらも同じく、広さも間取りも価格も様々。コンドミニアムと同じく、1R、1Kのような小さめのサイズはあまり見ないが、それでも月10〜20万円ぐらいから借りられるのではないかと思う。
シェアして住んでいる人が少なくない。
大きく2つの種類があると言ったが、コンドミニアムで月20〜30万円、またはそれ以上、HDBで月10万円以上。どちらにしても、僕と同じ歳ぐらいの人にとっては高い。
だから、一つの家をシェアして住むというひとが、同世代の知人には少なくない。先ほど、東京よりも部屋数が多いと書いたが、そのうちの寝室と共有スペースを、毎月数万円で借りて住むという方法もある。コンドミニアムだったら毎月数万円で、プールやジム付きの家が借りられるわけだ。
もちろんシェアで快適に暮らせるかどうかは、オーナーや自分以外のルームメイトとの関係次第。家賃や生活リズム、入ってよい部屋、使ってよい生活器具まで、すべてが自由というわけではない。これは東京でルームシェアするのと同じこと。
ものすごく良い関係ならば、家に帰ることも楽しみの1つになる。
ちなみに僕は、HDBにオーナーさんとシェアして住んでいる。選んだ基準はいろいろ。今はここに住んでよかったと本当に満足している。そう思う一番の理由は、素晴らしいオーナーさんの人柄と、彼らと僕たち夫婦との関係。
日本好きなオーナーさんと、日本やシンガポール、お互いの将来について英語で話すのがなによりの楽しみだ。写真は、オーナーさんとの手巻き寿司パーティーでの一枚。