今年、エイプリルフールのコンテンツPRについて感じたこと 〜メディアの立場から
エイプリルフールほど、有名、無名、業種、規模を問わず、ウェブメディアが企業の広報に関するリリース情報を求める日はないと思う。僕は今年初めて、メディアの立場でこの一日限りのイベントを追いかけた。
噓付き合戦に参加する企業の勢いに急かされるように、いち早くエイプリルフール記事を公開しようと、メディアの熱も上がる。実際、読者にも結構読まれるみたいだし、普段通りの記事の数も少なくなる。
4月1日、またその2日ほど前まで遡ると、少なくとも50以上の噓コンテンツに触れたと思う。ランディングページものもあれば、インタラクティブなゲームものもあれば、動画ものもあれば、コーポレートサイトパロディーものもあった。
もちろん、玉石混合。隅々までくまなく体験した上で企業担当者に取材し、記事で厚めに紹介したものをあれば、プレスリリースを一部抜粋だけして紹介したものもあれば、リリースのタイトルだけ読んで通過したものも。
記憶が薄れてしまう前に、来年の自分とこれを読んだ企業の広報担当者の方に参考になればと、あの日コンテンツに対して感じたことを残しておく。僕は噓コンテンツを評価して発信する側でしかないから、作るひとの苦労は分からないけれど。
分かりやすい嘘を付こう。
まず、これは必要条件として満たしておきたい。なにが分かりやすいといいのか。それは3つ。「コンテンツがなにか」と「噓であること」と「それによるインパクト」。つまり、どんなコンテンツで、なにが噓で、その噓でどんな影響があるのか。
どれぐらい分かりやすいといいのか。先ほどの3つが、一行のコピーだけで伝わるぐらい。理由は4つ。1つは、分かりにくいと感じてつっかえた時点で、その先を知ろうと思わない。
2つめは、噓だと分かりにくいがために本当だと信じてしまうひともいるから。3つめは、まわりくどいと企業が伝えたかったメッセージがぼやけるから。4つめは、「そんな噓があったとして、だからなに?」となってしまうから。
パクらない。便乗はしていい。
パクることと、便乗することは違う。誰かがやったことのある噓のフォーマットを真似されると、単純に「おもしろくない」と思う。もう少しメディア都合の言い方をすると、「同じ、もしくは似たようなコンテンツは紹介しづらい」と思う。
乗っかるのは、真似ることとは違う。先に周知された噓コンテンツ、それによって作られた空気感の中で、しかるべきタイミングで、先のコンテンツを活かす形で上手に料理する。先のコンテンツへの敬意が伝わって十分。
4月1日0時にローンチしよう。前日までにお知らせしよう。
深く考えない。エイプリルフールコンテンツなのだから、4月1日0時にローンチする。メディアの記者も寝てるから、1日の朝にしようとか考えない。
僕がメディアの担当者の場合、もしエイプリルフール第一報のタイミングで紹介してほしいと考えるなら、前日までには最終FIXしたコンテンツとプレスリリースがほしい。
読者のエイプリルフールに対する関心が最も高まるのは、1日になったばかりの0時か、次の日の朝だろうし、それまでに記事の準備をしておかなくてはいけない。
細かい点としては、事前にお知らせする際にも、本番用と同じURLを使った方がいい。記事にはリンク先のURLを盛り込まなくてはいけないし、「これ、直前で変更するかもしれません」なんていわれたら、3月31日の23:59まで待機しておかないといけない状況も起こりうる。それは大変。
最後に、
ひとを傷つける嘘はつかない。
来年も楽しみにしてます。
*あくまでも、個人の感想です。