フィリピン・マニラのスラム街に感じたアジアの貧しさ
フィリピン・マニラに出張で初めて行ってきました。中心地マカティエリアや、外資系企業が集積するグローバルシティーに経済成長を感じることもできましたが、一番印象に残っているのは、ネガティブな意味での「発展途上国」としての側面です。
東南アジアで暮らすようになってから、発展途上国という言葉に、ネガティブな印象を抱くことは少なくなりました。むしろ、これから成長していくemerging marketとしての可能性を感じています。先週行ったベトナム・ホーチミンがまさにそうだったのですが、マニラは後味が少し違いました。
ニノイ アキノ空港からマカティに行く途中、車内からスラム街が見えます。他の国でも空港から都市部までの道のりでそうした風景を目にすることはあるのですが、マニラはその集積度合いがすごい。マカティやグローバルシティーが栄えているから、なおさらそのギャップを強く感じました。
ホテルから取材先への移動中のタクシーでも、運転手に「必ず中から鍵をかけろ」と言われます。停車中に誰かにドアを開けられることがあるのかもしれません。また、iPhone片手に街を歩いていたときには、ボロボロの服を着た子どもに変な目で見られ、本当にこれは申し訳ないんだけど、正直怖い思いをしました。
ホテルから空港まで送迎してくれた運転手に、スラムに住んでいるひとはどうやって生活しているのか」聞きました。父親が働かない家庭もあるそうで、子どもを街に出し物乞いをさせたり、道でタバコなどを売らせたりするそう。男性が強い旧来的な価値観がよくない方向に作用しているのかもしれません。
さらに、子どもが8人も9人もいる家庭が少なくないといいます。カトリック信仰が強く、避妊の習慣がないからだそう。最近では女性が不妊手術をするケースもあるそうですが、まだまだ少なくないそうです。宗教を否定するつもりはありませんが、性や家族の将来設計に関する知識が不足していると言わざるを得ません。
では、働けばいい。海外企業なども入ってきているのだから、就職して稼げばいい。しかし、教育水準など企業が求める資質を、彼らが満たせていないのだそう。無料の公立学校は1クラスに生徒が50-70人、それに対して費用のかかる私立の学校は15-20人。本質的ではないと僕は思うのですが、運転手にいわせればこれも一つの原因だそうです。
貧しい=不幸というわけではありませんし、明るい子どもたちもいるでしょう。しかし、僕は経済的な苦しさが精神的な貧しさにつながりやすいと確信しているし、犯罪など人の道理に反することにつながっている今の状況は明らかに問題。自分がこれまで取材したきた活況は、アジアの一側面にすぎないということを思い出しました。
ベトナム・ホーチミン、どうでしたか?
今週はベトナム・ホーチミンに出張に来ています。海外旅行・出張の話になると、「●●(国名)、どうでしたか?」と質問をしたりされたりするので、ざっくりとした回答を載せておきます。「行くべきか?」と聞かれたら、行くべきでしょう。
ホーチミンはいい街です。日本やシンガポールと比べて物価が安い。2分の1か3分の1くらいのお金で、日本人の口に合うごはんが食べられます。今回は3つ星のホテルに滞在していますが、寝に帰る分には問題なし(シャワーは弱い)。シルクの衣料品や雑貨、陶器など女性が好みそうな民芸品がたくさん、マッサージも最高です。
日本のような清潔感を求めてはいけませんが、アジアの中では街並みは綺麗な方じゃないでしょうか。他の国でたまにあるような、道端にものすごい量のゴミが落ちているとか、歩いていると下水の臭いがしてくるとか、気になるほどではないです。ほとんどの道路が舗装されているので、サンダルでも歩きやすい。ハエはいるけど蚊は少ない。
慣れないうちは、交通事情に難ありです。信号はあってないようなもの、人とバイクとクルマが縫い合うように道路を横断します。タイミングを見計らって道に飛び出し、走ってきたバイクやクルマと道を譲り合いながら慎重に渡りましょう。とにかくバイクの量が多い(HONDAとYAMAHAばかり)。そのせいか、空気の汚れがすごいです。
初日に空港から訪問先に向かうタクシーでやられました。乗車時は英語が通じていたはずなのですが、まったく違う方向へ走り始め、一旦停止させたところから急に英語が通じない振り。そんな相手と交渉するのも疲れるので、結局3倍近い運賃を払わされました。Vinasun Taxiがおすすめです。皆さんもお気をつけて。
英語は、日本と同じくらいに通じるし、逆に言うと同じくらいに通じない。ホテルでは通じますし、観光客が訪れるようなレストランには日本語のメニューがあります。しかしそこに向かうためのタクシーの運転手はあまり通じません。Google Mapで英語で検索をかけても地名がベトナム語だったりするので、少し苦労します。
見どころ:すべてにおいてコスパが高い・ごはんが美味しい。
注意点:交通事情・観光客目当ての悪意のある商売人・英語。
初めてのドリアンは、なぜか粉モノの味がした。
「フルーツ」は東南アジアのいいところの一つだと思う。
日本でも人気のマンゴーやライチ、それに日本ではめずらしいマンゴスチンやドラゴンフルーツ、スターフルーツなど、種類が豊富で、スーパーでは安く手に入る。もちろん新鮮で美味しい。
しかし、一つだけ避けてきたフルーツがある。「ドリアン」だ。
シンガポールに住んでいると、日常的に街中でドリアンのにおい、いや香りがしてくる。スーパーの軒先、最前列に、客よせの大役を担っているかのように置かれているし、実際お客がよってくる。
生でそのまま食べる人もいれば、アイスやかき氷、あったかく煮立ったスープのようにして食べる人も。週末も平日も関係なく、みんな美味しそうに食べている。
食わず嫌いはよくない、もちろんそう思う。だけどあれだけ、小さい頃から「臭い、臭い」と刷り込まれれば仕方がない。
そうしてなんとなく自発的には食べずに半年近く経ったのだが、家のオーナーさんに誘われ、ついにその初体験を迎えた。
近所のマーケットにて。大量のドリアンがお出迎え、すでにただようドリアン臭。
1個 5シンガポールドル、400円弱。3個で20ドルって、割引になっていないどころか高くなっているが、おそらく種類が違うか。
量り売りも。
とげとげしい。
食べやすくカットされたものも。
いよいよ....
実食。
まず口に運ぼうとするところから、すでに香りが鼻にくる。"臭い" というひと言では言い表せない、例えるなら、焼く前の粉モノのような香ばしさ+ネギのような香り。甘い果物を食べる準備をしていたので、脳が混乱。
表面はやや繊維質の薄い皮。そしていよいよ口に入れ、歯でかじると中からトロッとクリーミーな薄黄色の果実が。果実と果汁の中間のようなとろけ具合で、噛むというより、飲み込めるほど柔らかく、そのまま喉の奥へ。
口の中に残った後味は、粉モノの香ばしさ+ネギの香り+甘さ+クリーミーな食感で、自分がいまなにを食べているのか、よく分からない事態に。
ただ.... 二つ目には手が伸びず、きっともう....
オーナーさんからも、"This is the first and last time." だねハハハ、と笑われました。
皆さんも、こちらに来たとき一度は試してみては。
英語は聞けるけど話せない、と悩んだときに救われた言葉
シンガポールに住み始めて3ヶ月が経った頃、僕は少しずつ英語が聞けるようになってきたけど、自分から話すのはまだ苦手だった。
家のオーナーさんや英会話の先生と話していて、自分がなんとか伝えようとしどろもどろしていると、どうしても会話全体のテンポが悪くなる。
学生時代に覚えた単語はほとんど抜けきってしまい、語彙力が下がってしまっているのは否定のしようがない事実だったし、怠惰の結果だった。
そんなときにロンドンに留学経験のある奥さんが言った言葉が印象に残っている。同じようにつまづいているひとにも参考になると思うので書き残しておこう。
「英語は、I am か I do か There is でだいたい表現できるよ」
この言葉を聞いたときに、いかに自分が頭の中で不必要に難しい日本語の文章を組み立て、それを英語に直訳しようとしていたかを自覚し、だからなぜか伝わらないときがあるんだと理解した。
僕なりに解釈すると、英語に限らず話す言葉というのは、am=状態 か do=行動 か There is=状況のいずれかにあてはまるし、am とか do とか There is ぐらい簡単な単語で表現できるんだということ。
仕事はなにをしてるの?と聞かれたら、I am a writer. と答えればいいし、どこの会社で働いているの?と聞かれたら、自分で会社を設立して云々かんぬんと考えずに、I run my own business. と答えればいい。
あのとき、「英語なんとかなるかも」と初めて思えた。聞くのも話すのも、まだまだ全然上手くないけど、来週も頑張ろう。
英語を学ぶ5ヶ月の間に、自分の中で起こった変化
今年、エイプリルフールのコンテンツPRについて感じたこと 〜メディアの立場から
エイプリルフールほど、有名、無名、業種、規模を問わず、ウェブメディアが企業の広報に関するリリース情報を求める日はないと思う。僕は今年初めて、メディアの立場でこの一日限りのイベントを追いかけた。
噓付き合戦に参加する企業の勢いに急かされるように、いち早くエイプリルフール記事を公開しようと、メディアの熱も上がる。実際、読者にも結構読まれるみたいだし、普段通りの記事の数も少なくなる。
4月1日、またその2日ほど前まで遡ると、少なくとも50以上の噓コンテンツに触れたと思う。ランディングページものもあれば、インタラクティブなゲームものもあれば、動画ものもあれば、コーポレートサイトパロディーものもあった。
もちろん、玉石混合。隅々までくまなく体験した上で企業担当者に取材し、記事で厚めに紹介したものをあれば、プレスリリースを一部抜粋だけして紹介したものもあれば、リリースのタイトルだけ読んで通過したものも。
記憶が薄れてしまう前に、来年の自分とこれを読んだ企業の広報担当者の方に参考になればと、あの日コンテンツに対して感じたことを残しておく。僕は噓コンテンツを評価して発信する側でしかないから、作るひとの苦労は分からないけれど。
分かりやすい嘘を付こう。
まず、これは必要条件として満たしておきたい。なにが分かりやすいといいのか。それは3つ。「コンテンツがなにか」と「噓であること」と「それによるインパクト」。つまり、どんなコンテンツで、なにが噓で、その噓でどんな影響があるのか。
どれぐらい分かりやすいといいのか。先ほどの3つが、一行のコピーだけで伝わるぐらい。理由は4つ。1つは、分かりにくいと感じてつっかえた時点で、その先を知ろうと思わない。
2つめは、噓だと分かりにくいがために本当だと信じてしまうひともいるから。3つめは、まわりくどいと企業が伝えたかったメッセージがぼやけるから。4つめは、「そんな噓があったとして、だからなに?」となってしまうから。
パクらない。便乗はしていい。
パクることと、便乗することは違う。誰かがやったことのある噓のフォーマットを真似されると、単純に「おもしろくない」と思う。もう少しメディア都合の言い方をすると、「同じ、もしくは似たようなコンテンツは紹介しづらい」と思う。
乗っかるのは、真似ることとは違う。先に周知された噓コンテンツ、それによって作られた空気感の中で、しかるべきタイミングで、先のコンテンツを活かす形で上手に料理する。先のコンテンツへの敬意が伝わって十分。
4月1日0時にローンチしよう。前日までにお知らせしよう。
深く考えない。エイプリルフールコンテンツなのだから、4月1日0時にローンチする。メディアの記者も寝てるから、1日の朝にしようとか考えない。
僕がメディアの担当者の場合、もしエイプリルフール第一報のタイミングで紹介してほしいと考えるなら、前日までには最終FIXしたコンテンツとプレスリリースがほしい。
読者のエイプリルフールに対する関心が最も高まるのは、1日になったばかりの0時か、次の日の朝だろうし、それまでに記事の準備をしておかなくてはいけない。
細かい点としては、事前にお知らせする際にも、本番用と同じURLを使った方がいい。記事にはリンク先のURLを盛り込まなくてはいけないし、「これ、直前で変更するかもしれません」なんていわれたら、3月31日の23:59まで待機しておかないといけない状況も起こりうる。それは大変。
最後に、
ひとを傷つける嘘はつかない。
来年も楽しみにしてます。
*あくまでも、個人の感想です。
シンガポール移住・オフィス開設に必要な貯金
今日、本当の意味で生活の拠点が東京からシンガポールに移った。
引越しは2月中旬には済ませていたが、それから今日まで、僕は日本の個人口座に入っているお金で生活してきたから、拠り所はまだ東京という感覚だった。
それがようやく、東京とシンガポール、それぞれの会社のオンラインバンキング口座の運用が安定し、こちらにあるお金だけで生活できるようになった。
シンガポールに渡るためにやってきたこと
本題である、「いくら貯めておけばいいの?」に答えるために、僕がこれまでなにをしてきたかを簡単に振り返る。
シンガポールに渡るという目標を立てたのは2012年の夏。11月、こちらに渡れるメドが立ち、公認会計士の会社にご相談。直後、初冬に取材もかねて視察と住まい探しで初訪星。
年が明けて1月。正式に公認会計士の会社に設立準備を依頼、ビザ申請準備開始。東京にある会社の代表取締役である僕がいなくなることによって発生する法務手続き。新居決定。
引越しの2月。海外送金、オンライントランザクションなどの利便性を踏まえて銀行口座切替、航空券予約、大きな荷物の空便・船便手続き、東京にいるお客様への挨拶回り、など。
小さい会社は、アドミニストレーション部門=自分=プロフィット部門なので、この間も通常通りの営業・納品業務。
3月。ビザがおり、その後個人の銀行口座開設手続き。
4月。カンパニーセクレタリーの会社に依頼し、会社の銀行口座開設手続き。
5月。会社の銀行口座開設完了、オンラインバンキング利用申込。
6月。オンラインバンキング利用開始。
そして、いまに至る。
こちらに渡った2月中旬以降は、官公庁や銀行による手続きを待つ時間が長いので、自分でしなければいけない作業はそんなに多くはない。ただ、シンガポールの銀行口座が開けるまでは、日本の個人口座に入っているお金で生活しなくてはいけないことは覚悟しておきたい。
移住期間に使った経費の項目
ということで、僕の東京からシンガポールへの移住期間は、昨年11月から今年の6月ということになる。その間にかかった主な経費の項目を洗い出してみた。
・11月:視察(航空券、ホテル)
・1月:公認会計士への支払(会社設立、ビザ申請)、資本金、東京の法務局への事務手数料、新居賃貸のデポジット、家賃
・2月:引越し(航空券、大きな荷物の空便・船便手続き)、家賃、家具、オフィス用品、通信機器、生活費
・3月〜6月:家賃、生活費
どんなホテルに泊まるか、航空会社はナショナルフラッグキャリアかLCCか、どんな家に住みたいか、公認会計士への支払もピンからキリまで、家具はIKEAでいいのか、外食が多いのか... 具体的な金額は、自分や家族がどのくらいの生活を求めるかによる。
そして忘れてはいけないのは、移住やオフィス開設をしたあとにももちろん生活は続いていくので、準備だけで貯金を使い果たすのかということ。